開催趣旨 

 科学技術の進歩は私たちに福祉の向上や生活の利便性をもたらしました。中でも今後の「ユビキタス社会」の到来によって情報技術が社会のあらゆる場面において活用され、より創造的で生産的な社会が実現し私達の生活と社会経済活動が一段と発展していくと考えられます。また、防災等におけるリスク対策の局面においてもユビキタスの技術が大きく貢献することが期待されます。しかしその反面、情報の信頼性低下、利用能力の不均衡等の問題をはじめ、個人情報の漏洩や不正アクセスなど犯罪にも繋がる問題、さらには過当な情報発信や不適切なコンテンツの蔓延が人心を蝕む問題など、深刻な問題も生じつつあります。このような背景をもとに科学技術と社会との関連、危機管理のあり方などについてさまざまな問題提起がなされています。
 「ユビキタス社会」の特徴として、「ユビキタス社会」を支える技術について、研究開発と社会展開がオーバーラップすることから、最先端の技術が短期的に社会に次々と導入され、実証と実用が混在しながら展開することが予想されます。このような特徴により、従来の社会制度との整合性確保が十分に行われていないことや、あるいは、科学技術の発展に社会科学や法制度が追従し切れていないことが上述のような問題を露呈してきているともいえます。
 そこで、社会技術研究開発センター「情報と社会」研究開発領域では、これらの点に着目し、平成17 年度から公募型研究開発プログラム「ユビキタス社会のガバナンス」を開始し、「ユビキタス社会」で必要とされる「ガバナンス」はいかにあるべきかを主題として取り上げ、予測される悪や悲劇の芽を摘み取るため、あるいは予測されるよい点をよりよく進展させるための手段について研究しています。その際、科学技術だけでなく人文・社会科学などの知見も統合した俯瞰的な視点をもって問題解決のための研究を進めております。
今回、今年度研究終了の2 課題(平成19 年度採択)、及び現在も研究継続中の1 課題(平成20 年度採択)に取り組む各研究代表者を一同に集めて発表を行い、研究で得られた成果について情報発信を行う場として本シンポジウムを開催いたします。
 また、「ユビキタス社会におけるモバイルコミュニケーション」と題して株式会社NTTドコモ社長の山田隆持氏にご講演をいただくと共に、シンポジウムの最後に「企業・自治体の組織経営とリスク管理」というテーマでパネルディスカッションを開催いたします。

 本シンポジウムでは、現在までの研究開発プログラム「ユビキタス社会のガバナンス」の研究成果をご紹介してご理解いただくとともに、今後の研究の方向に関してご意見を頂き、真に安全な社会に貢献する情報システム・セキュリティの社会技術研究開発の推進に寄与することを目指しています。
皆様方のご参加をお待ちしております。
領域総括
土居 範久(中央大学)